家の修繕は費用対効果の検討が重要
センスコラム
先日、雨漏りのご相談をいただきました。その家は古く、お話しによると江戸時代くらいからある旧家。半年前くらいから2階で雨漏りが発生し、室内の壁を濡らしていたようです。
早速、屋根のコンディションチェックを行ったのですが一番の問題点は棟瓦。一部崩れて雨水が侵入する原因のひとつであることはすぐに判明しました。
その他にも、平瓦の割れやズレ、また、葺止め部分のノシ瓦の脱落など、多くの問題点が発覚しました。
その状況を踏まえてどこまでこの屋根に手を入れて修理するのか?
もちろん、全ての瓦を葺き替えるといいのはわかっていますが、建物の規模からも、そこにはコストの問題が大きく関わってきます。この建物は現在住まいにしているわけではなく、主に農作業の休憩などに利用している建物であることからも、そこまでコストを掛けることはできないというお施主様のお気持ちもよくわかりました。
そこで今回のご提案とすれば、一番の原因と考えられる棟瓦の巻替え。その他には、割れた瓦の入れ替えとズレ補修(コーキングによる固定)をご提案させていただきました。
当初、低コストということで棟回りにシートを被せる工事についてもご質問いただきましたが、シートは紫外線などにより朽ちるのが早いこと。また、暴風雨などの時に風で飛ばされるリスクが高いことをしっかりとお伝えし、ある程度長い目で見るのであれば、工事としてはおススメではないことをご説明させていただきました。
そして工事スタートです。
こちらの屋根瓦は湿式(瓦の下に土がのっている)。瓦を剥いでみると、土が経年で流れているところも見受けられ、その部分にモルタルを充填することが必要な箇所もあることがわかりました。
また瓦自体が古く、現在の瓦サイズの規格ではありません。
割れた瓦の差し替えには現在手に入る瓦で代用するしかありません。ということで、全て瓦を現場にてカットし差し替えるという作業を行いました。おおよそ80枚程度の差し替えです。
次に棟の補修についてです。これはさすがにこれまでの古い棟瓦は使えないということで、棟部分を一度撤去し、新しい瓦にて棟の巻替えを行いました。
今回、工事に必要とした日数は5日間。梅雨が来る前に・・・というお施主様のご希望に何とかお応えすることができました。
お施主様には工事後の状況をご確認いただき、これで安心したとおっしゃられていました。
修繕工事の計画する上では、建物コンディションの見立て、どれくらい維持させたいか、いくらコストを掛けれるかなどなど、様々な要素を総合的に判断する必要があります。いわゆる「費用対効果」の検討です。
この計画の精度により、結果も大きく変わってきますので、しっかりと検討する材料を出し尽くし話し合い、お客様にとってベストな施工をご提案していきたいものです。