夏、家が暑いのは当たり前と諦めてませんか?
センスコラム
家の断熱性能が低い家は夏暑い。。では、断熱性能が高い家は夏場涼しく過ごせる!。。。と本当に言えるのでしょうか?答えはNOです。。
夏、快適に過ごすには、「熱の侵入」というものをしっかりと理解し、それを対策しながら生活することが重要です。夏の家の暑さ対策は、ズバリ「家の性能」よりも「正しい住まい方」にあると言っても過言ではありません。
夏場、熱は家のどこに潜んでいるのか。また、どのように熱の侵入を断てば快適に過ごせるのかをご説明します。
まずは「日射」。
室内に侵入する熱の中で最も大きな割合を占めるのが、窓から差し込む日射です。
このイラストをご覧ください。夏場、室内に侵入する熱の何と74%が「窓」というデーターがあります。
日射により熱が窓から侵入し、床などの内装材の表面温度を上昇させます。そして厄介なことに、表面温度があがった内装は冷めにくいという特性を持っているのです。このように、一度熱を持ったものが一定時間冷めない状態を「蓄熱」といいます。
その結果、外気が下がる夕方~夜になっても室温が下がらない・・・ということになってしまうのです。
また表面温度と体感温度の関係も知っておく必要があります。体感温度の目安はその場所の気温と内装材などの表面温度との平均値になると言われています。例えば、室温が20℃でも表面温度が40℃だと、体感温度はその平均値の30℃になります。
体感温度に大きく影響を与える表面温度ですから、如何に窓から日射を取り込まないかを工夫することが大切になってきます。
次に窓の外に存在する「陽だまり」。
仮に直接窓から日射が差し込んでいなくても、次に気にしなくてはいけないのが窓辺に存在する陽だまりです。窓辺に陽だまりが存在すると、その熱で窓ガラスが熱せられ、窓から熱が室内に侵入することになります。
室内の温度を上昇させる大きな原因が「日射」と「陽だまり」であることをしっかりと理解しましょう。
次にその対策についてです。
いずれにしても窓からの熱の侵入を止めることが一番重要。だとすれば、窓の外に何らかの対策を施せば解決するということになります。窓から「日射」や「陽だまり」の熱の侵入を防ぐ方法はいくつかありますのでご紹介していきます。
まずは窓の性能について。
このように、ペアガラスの内側にLow-E金属膜が貼られているガラスがあります。一般的にはLow-Eガラスと言われているものです。太陽の放射熱(=日射熱)がガラスにコーティングした金属膜で跳ね返され、一気に低減されます。透過できた日射熱の勢いは弱められているため、次の中空層でも更に日射熱を減退。この為、室内に侵入する日射熱の量はかなり低減されるという効果を発揮します。
近年建築される建物に採用されている窓ガラスはLow-Eが主流になっています。
次に窓の外で日射をカットするアイテムをご紹介します。
これは「アウターシェード」という商品ですが、文字通り窓の外で使うシェードです。これにより日射を80%カット。簾と違い、シェードを使用しない季節や強風時は、簡単にスッキリと収納できるのも魅力です。
この他に、このようなアイテムを使用せずにシェード効果を発揮するものと言えば「グリーンカーテン」があります。
植物は根から水分を吸い上げ葉から蒸発させています。水分が蒸発するときには熱が奪われるという性質がありますので、日射遮蔽+αの効果も期待できます。また、夏の日射侵入が気になる窓辺に、冬は日射を取り入れるのにも最適な落葉樹を植えるのも有効な手段といえます。
最後に紹介するのが「テラス」です。「熱を入れない」「熱を遠ざける」と考えた時、窓の外にテラスなどを計画し、外部と室内の間に「半外」という曖昧な空間を設けることはとても有効です。
屋根部分には開閉可能なシェードなどを計画することにより日陰領域をコントロール。冬はシェードをたたむことでオールシーズン快適に使用することが可能になります。ウッドデッキなどを合わせて施工することにより「アウトドアリビング」としても利用できることから、生活の質の向上にもつながるアイテムといえます。
夏の暑さの原因は窓からの「日射」と「陽だまり」。また、対策は適切な窓ガラス周辺の日射遮蔽計画。
今年の夏も暑くなる見通し。早めに夏の日射対策を行い快適な夏をお過ごしいただければと思います。