三原市本郷でプロボノ活動
センスコラム
数週間前に西日本を襲った豪雨。その中でも大きなダメージを受けたエリアのひとつ三原市本郷に行ってきました。今回は(一社)日本レスキューボランティアセンター(JRVC)への同行です。被害を受けた住宅をまわり、住宅のコンディションチェック(床下や構造の環境)や、現状できる最善の処置などアドバイスをさせていただきました。
土壁のお宅は、浸水した部分まで顕著に壁の土が流され木舞(壁の下地として、縦横に組んだ竹や細木)がむき出しになっている状態です。こちらの地域はこの工法で建てられた家が比較的多く、このような光景が目につきました。
こちらは壁の中が土ではなくグラウスールという断熱材が施工されているお宅。土壁の家のように表面的にはダメージが見えませんが、内壁を剥がしてみるとこの状態。断熱材及び断熱材周辺の木部が浸水しているので水分を含んでいます。このまま放置するとカビなどが発生し住宅にとっては悪影響を及ぼす可能性が大きい状態です。
こちらは床下の写真。泥水が流れ込みコンクリートが水分を含んでいます。こちらの地域は市街地ではないので、宅内への汚水の流入などがなかったのか悪臭は確認できませんでした。しっかり乾かして消毒すれば床下の環境は改善できると感じました。
こちらのお宅は基礎下の土が抉り取られています。この状態からの復旧となると、専門家を交え綿密な現状把握(家の傾きや浸水の状況)を行った後、適切な復旧作業を行わなければいけませんが、ある程度大掛かりな工事になることが予想される状況です。
こちらは天井に設置されている照明器具に泥水が溜まっている写真です。電気が開通した後、それぞれの電気設備の状況をチェックしてから通電しないと危険です。この作業は一般の方では危険ですので専門の方にお願いするのが大切です。
浸水した家の最初の処置で重要なことは、とにかく水分を抜き出すことだと思います。木造住宅にとって湿潤な環境が続くことは各部位にとって致命傷になりかねません。籠った水分を発散させる環境をいち早くつくり、通風を行うことが大切です。
今回は微力ながら建築のプロボノとして参加させていただきました。プロボノ(Pro bono)とは、各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般をいいます。ボランティアというと「何をすればいいの?」となりがちですが、各人が持ってるスキルを持ち合うという考え方でいけば多くの方がムリなく被災地で適切なお手伝いができると感じました。
被災された方々はこの猛暑の中、家の片付けや掃除を黙々とされていました。そんな中、多くの笑顔に出会えたのは我々にとって救いでした。あせらず確実に元の生活を取り戻していただきたものです。今後も我々にできることがあればお手伝いさせていただきたいと思っています。